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道中。

Haneda, Tokyo
Haneda, Tokyo

気にしない奴が生き残るし、楽しめる奴が強い。

電子メールが届く。クリックすればディスプレイに文字が並ぶ。少し遅れて脳が意味を理解する。予感が確信に変わり、さっきまでの気分が消えて、何とも言いようのないズシリとした重みを抱える。
現代は絶えず感情にアクセスしてくるから、浮き沈みのサイクルがとてつもなく早い。その変動に耐えられず、心の病を患う人も多いのかもしれない。

深く考えるな、でも真剣に考えろ。

先週の休日、何をしたか考えてみる。土曜日は故郷の公園を一人でぶらぶら歩いた。観測史上何番目かに遅く開花した桜を見た。花見をする人、デートをする人、池でボートに乗る人。ぐるっと回って、水辺近くに腰を下ろし、贅沢な読書タイムをとったりもした。
日曜日は妻とふらっとお出かけ。新宿に初めてビジネスシャツをオーダーしに行った後、古道具屋でポストカードなんかの紙物の収納を思わず購入してしまう。荷物を抱えて参宮橋まで歩き、コーヒースタンドにてケメックスで淹れた珈琲をすする。焙煎の度合いや豆の仕入れ時期なんかを聞いたりなんかもして。電車で家の最寄り駅まで戻り、スーパーで買い物をして帰宅。夜は好物の餃子。午前中にしたランニングの疲れのせいか、ビールにすぐ酔ってしまい、いつもより食べられなかった。

そうやって心を真ん中に置いて綴れる日があるうちは、大丈夫。

目的。

Asagaya, Tokyo Asagaya, Tokyo

残しておきたい記憶。それをできるだけ蓄積したい。

ほとんど毎週末、そんなに遠くはない場所に妻と散歩しにいく。珈琲にのめり込んでからは、気になる珈琲屋さんを絡めながら、なんとなくのコースを決めて歩くことが多い。
会話はあまり覚えてない。基本的にはくだらない話、ときどきシリアス。何を話そうか意識的にならず、とりとめのない会話は、生産性はなくとも、些細なそれでいて大切なことを共有する場として機能しているような気がする。

ちょっとした目的の散歩でされる、目的のない会話の、意識されない目的。

道無き道、手探りで。

Ashikaga, Tochigi
Ashikaga, Tochigi

自分ができない生き方を誰かがしていて、誰かができない生き方を僕がしている。ただそれだけのこと。
僕の現実はあなたの架空で、あなたの現実は僕の架空だ。そう言い換えてもいいかもしれない。

今立っている場所に卑屈になるんじゃなくて、それを踏まえてどうやっていきたいか(行きたいか/生きたいか/逝きたいか)を考えるしかない。そして、踏み出すしかない。

道無き道、手探りで。

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