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強い陽射しの下、歩く、歩く。(Portland/Seattle2013 – 3)

9月9日 ポートランド

朝方に目が覚めてしまったが、二度寝はできず。昨日の昼寝の影響だろうか、それとも精神的な影響だろうか。ベッドから出たくない気持ちに蓋をして、シャワーを浴び、洗濯も済ます。部屋を少しだけ片付けて出発。
鍵を預け、そのまま外に出ようかと思っていたが、ホテルロビーに併設しているStumptown Coffee Roastersでコーヒーを買う。本当はケメックスで淹れてもらいたかったが、かなり混んでいたので、用意されたポットから自分で紙コップに注ぐ安価なコーヒーにした。それでも、ポットの横に豆の名前が書いてあり、ブレンドではなくシングルオリジンであることに感動した。ホテルロビーでコーヒーを堪能。居心地がいいので、いつも人がたくさんいる。一息ついてようやく外へ。
まずは昨日手に入れられなかった路線図と1day passを求めて、インフォメーションセンターへ。途中、青空市を見かけるも、まだ準備中で人は集まっていなかった。無事目的のアイテムをゲットして今日の本格的な活動を開始する。バスに乗って、ブランチをしにノースウエストに向かう。
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悲しみすら包み込んでくれる街へ。(Portland/Seattle2013 – 2)

9月8日 シアトル〜ポートランド

時差ボケなのかなんなのか朝方に目が覚める。寝ぼけながらネットを徘徊していると、あからさまに僕のことを批判している(少なくともそう受け取れる)文章を見かける。泣きたくなった。第三者ですら僕のことだと感じた人がいたので、おそらくそうなんだろう。なけなしの自信が吹き飛んだ。でもニケからのメールやツイッターのフォロワーさんからの温かい言葉で、なんとか持ち直す。せっかくの旅行なんだしとどうにか気持ちを持ち直そうとした。
そうは言ってもこんな気持ちのまま眠るのは無理だったので、早朝から営業している気になっていたカフェに散歩がてら向かうことに。
この時期でもシアトルの朝は肌寒い。パーカーでやっと耐えられる感じ。街には僕よりも厚着の人もいれば、Tシャツ1枚の人もいる。雲はあるが、晴れている。雲間から差し込む光が心を持ち上げてくれる。
目的地に着くも、ガランとしていたのでもう少し散歩を続けた。10分くらいして戻ってもまだ店員以外の人気はなかったが、ポートランドに向かう時間を考えると、そろそろタイムリミットなので意を決して店に入る。
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この旅に出た理由を文章にしてみる。

Seattle, America

9月前半、ポートランドとシアトルを1週間程旅してきた。旅行記を始める前に、「なぜポートランドとシアトルなのか?(アメリカならニューヨークとかロサンゼルスとかあるでしょうに。)」という誰もが思いつくであろう疑問について、少し説明しようと思う。

そもそもの経緯。長い間やむなく会社を休んでいて、9月くらいからそろそろ復帰するぞと意気込んでいた。しかし会社側の事情もあり、もう少し休暇を取らざるをえないことに。
家に籠っていることにも飽きていたし、こんなに休みを取れる機会もそうそうないだろうと、旅にでも出ようかという気持ちが高まった。ただ、妻は休みが取れそうもないため、1人旅になることも踏まえ、最初は年頭に行った台湾あたりに行こうかと思っていた。
インターネットで格安航空券を調べるも、思ったほど安くない。そこで台湾に限らず適当に目的地を設定して、価格をチェックする。たぶん“シアトル”と打ち込んだのは数回目だ。
その時の気持ちとしては、「まだアメリカ大陸行ったことないしなぁ」程度。ほとんど無意識に近かった。
出てきた金額が意外と安かった。が、金銭面の他、英語に対する不安など、いくつか懸念事項があり、即決はできず。確か2〜3日悩んで、えいやと勢いで行くことを決めた。(その後、アメリカは宿泊費が高いことに気づき、少し後悔したりもした。)

ここまでの記述はあくまで経緯であり、全く理由になっていないことは自分自身が一番理解している。なので、ここから。
少しまじめに考えてみると、「なぜ」に対する理由はいくつか転がっていた。

まず、ポートランド及びシアトルは、コーヒー文化のトレンドを発信している地域であるということが大きい。もちろんコーヒーそのものに対する興味は強い。(このサイトにもCoffee Tripというページがあるくらい。)加えて、カフェが家と職場以外の第三の場所(サードプレイス)として暮らしに溶け込んでいるという話も聞いていた。おいしいコーヒーを嗜みながら、そこで暮らしている(きっと、暮らしていると表現してもおかしくない)人々をこの目で見てみたかった。

また、ポートランドは学生時代の専門分野でよく名前が挙がっていた。全米の暮らしたい都市で、いつも上位にランクインしていることも含め、界隈では有名な場所であり、そこで『都市の豊かさ』を実感したかったのだ。もちろん、世界遺産に身を置くことで心打ち震える体験をするのは素晴らしいが、今、僕は自分の仕事(職能)に対する可能性を改めて知っておきたかったのだ。東京で忙しなく働き、そして不調になったことで、自分が信じてきた都市の豊かさのような概念が消えかかってきていて、それを取り戻したい、あるいは再発見したいという気持ちが知らないうちに芽生えていたような気がする。
そのためには、観光以外にそれなりの規模の経済活動が行われている都市である必要があった。(この場合、端的に言うならフィジカルな開発が行われる場所。)ポートランド。原点回帰するにはうってつけだと思った。観光客の身分で言語的にも拙いことから、深い理解へとは結びつかないかもしれないが、人々の暮らし方や佇まいをできる限り見てきたい。

シアトルにはポートランドのような仕事上の深い理由はなかったが、シアトル中央図書館がある。レム・コールハース設計の。彼は僕の大学時代のアイドルだ。都市と建築がダイレクトに繋がる理論やコンセプトに魅了され、クールなプレゼンテーションに憧れを抱き、オランダで見たKunsthal、Educatriumは今でも大好きな建築の1つ。公立図書館なので、本当の意味での公共建築を感じられるかも知れないとも思った。

旅の最中、そんな仰々しい理由は意識から身を潜めたが、そんな感じで僕は旅に出た。