本が示す自分。
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2013/10/12
LOVE / 古川日出男
以前にも読んだことも含めて、この人は文体の人なんじゃないかと思う。とにかく疾走感。短距離走を繰り返した後のような読後感。
とにかく地理の描写に拘っている気がする。地図を見ながら書いたりしてるのかと思うくらい。
翻訳夜話 / 村上春樹 柴田元幸
村上春樹もオースターも好きという理由で購入。(でも村上春樹の翻訳本はあまり読んだことない。)
作家の翻訳と翻訳家の翻訳。翻訳する本の選択の仕方など興味深いことも多いが、一番は最後に付いてる同じ文章を翻訳したときのアウトプットの違いが面白い。どうやっても村上春樹になってしまう様とか。
日本の景気は賃金が決める / 吉本佳生
インフレになることでなぜ景気回復するのか、その繋がりわからなかったから読んでみた。この本だけじゃ知識不足なのはもちろんなんだけど、「アベノミクス大丈夫か?」という感想になる。
この本の結論の1つは、民間消費を増やすことで経済成長に繋がり、その民間消費を増やすには低所得者の賃金を上げて賃金格差を無くすこと。読むと単純にそれやればいいじゃんってなるし、この人に限らずこれまでも専門家がたくさん意見をしただろうに、なぜ実際はそんなにうまくいってないのかを考えてしまう。(専門家の意見も分かれているんだろうけど。)
経済以外のことも含めて、世界が複雑化しすぎて(観なければいけない視点が多すぎて)、どんどん難しくなっている方向をなんとかできればいいのに。ちょっとやそっとじゃついていけない話があまりに多すぎる。
銃・病原菌・鉄 / ジャレド・ダイアモンド
ネットで見かけることが多かったので、意を決して。相当読むのに時間がかかった。上巻で結論が出ているため、特に下巻が。(下巻のおかげで信憑性が増すということなんだろうけど、それにしても。。。)
人種の違いじゃなくて、地理的要因の違いが現在の格差を生み出しているという話。
内容そのものよりも、なんとなくそうかもしれないって思ってることを説明するのに、ここまでしなくちゃいけないのかって圧倒される気持ちが強い。逆に、それほどまでに人種の問題は根深いのかとも思った。日本にいると、その切迫感がほとんどないから。恵まれている。
グリーンネイバーフッド―米国ポートランドにみる環境先進都市のつくりかたとつかいかた / 吹田 良平
ポートランドに行く前に急いで読んだ。読まないことで旅行に弊害はない。ただ、なぜポートランドが都市の肯定的な事例が用いられるのか、その内実のようなものを少しでも知りたいならという感じ。
写真も多くてさくさく読める分、専門本としては物足りなさはある。それでも日本にいるとこんなものだと思っていた『暮らす』という行為の見方が変わるかもしれない。
とはいえ、ブラウンフィールドから再生したパールディストリクトは、人もそんなに多くなく、ダウンタウンに比べると歩いているときの興奮度は低かった。本ではポジティブな面に特化しているので、それなりの課題はありそうだ。
選択の科学 / シーナ・アイエンガー
休んでいた間、会社の偉い人に勧められて。(僕の病気と絡めてこの本の話をされた。)
生きていると、大きなことから小さなことまで選択に溢れている。選択の自由度や幅広さ等にどんな影響があるのか、実験を通して示してくれる。そういう視点で考えたこと自体なかったから、とても新鮮だった。
自分が不調になった原因は、仕事で選択(判断)できる状況を全然与えてもらえなかったことが大きかったような気がする。最後の方は、何を自分で考えればよくて、何をどの上司の判断を仰げばいいのか、全く不明瞭な状態が続き、本当に辛かった。
僕は選べるところ(範囲は決まっていても選んでいると実感できるところ)で働きたいと、切にそう思った。