ダストシュート。
Category:Memento |
2015/03/28
感情や思考を言葉にすることは難しくないが、風景描写のような様を言葉にすることが苦手だ。そういった表現を身につけようとしても、すぐ頭の中に潜っていってしまう。だからビジュアルとして浮かんでくる文章を書ける人が羨ましい。
研究室にいた頃の准教授が出張で上京してきたので、仕事後特に予定もなかったので顔を出した。まあ共通点のある生業なわけだから、自然と仕事回りの話にもなり、自分の考えを語る場面もやってくる。そうすると、こうやって自分一人で文章を綴るのとは違って、本当に自分から出てきた言葉なのかと感じることがよくある。でもたぶんそれは一人でいるときには顔を出さない類いのものであり、相手の言葉に奥底に眠っていた考えが掘り出され、いつの間にか音として空気を振るわせるのだろう。そこで自分も再認識するわけだ。こんなこと自分が考えていたのかと。
だからこうして潜って捻り出した言葉をそこまで信用しなくても大丈夫なのかもしれない。ここに表出しているものは確かに僕の一部ではあるけども、それが自分を苦しめるときがあるなら、そういう文章が書きたかっただけと気楽に割り切ってもいい。
ほらまた何も風景が浮かんでこないものを書いてしまった。
東京の終電近くの電車は悲惨だ。でも自分が酔っているならば、時間感覚は短縮されるからそこまで苦でもない。
四谷でJRから地下鉄に乗り換える。丸ノ内線四谷駅のホームがすごく好きだ。地下鉄なのに地上に出ていて、ホームの奥の方へ進むと屋根も壁も取り払われる。緑豊かだし遠くには高層ビルが見える。夜だから緑は全然感じられないけど、高層ビルには少ないながらも明かりが着いている。思わずiPhoneで写真を撮る。
そうこうしているうちに地下鉄が駅に入ってくる。JRよりは空いているが、他人に体触れてしまうくらいの密度はある。外の空気で少しは酔いがさめたかと思ったのに、乗り込むとまだぐでんぐでんな自分に気づく。
ゆっくり流れていた時間がまたすぐに短縮された。
少しは風景っぽい文章が書けたかな。
読みかけの小説もあるし、妻が仕事を終えるまでに出かける準備をしないといけないので、この辺で。