*

*

*

留まれない、動いている。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 / 村上 春樹

これまで、新刊が出ても文庫になるまで待つことにしていた村上春樹。なぜか今回は発売日に買ってしまった。
理由の1つは、ページ数がそんなに多くなく、あっさり読めそうなこと。もう1つは、リアルタイムに読むことの意味を探りたかったこと。(ターニングポイントとなる現代の出来事を、物語により直接的に取り込むことが多くなってきていることもあって、そういう考えに行き着いたのだと思う。)

発売から日が浅いことも踏まえ、以下たたむことにする。(僕の感想がネタバレしてるかどうかは別として、先入観をもってこの本を読みたくない人もいると思うので。)

最近の村上春樹の小説は、良くも悪くも現実的あるいは実際的になってきていると感じる。そのため、彼の作品に何を求めるかで評価が分かれる気がする。
前作1Q84は架空が実際を橋渡しし、そのバランスが絶妙だと思う。それに対して今作は、あまりにも地に足が着きすぎている。もちろん、特徴の1つである、夢と現実の螺旋(のような)構造はしっかり存在するのだけど、夢の現実化と現実の夢化を見比べると、後者の要素が弱い。
むしろ、現在の世界や日本を、ある意味、夢以上の奇妙さが取り巻いているせいで、そうせざるを得ないのかもしれない。空想の担ってきた役割が、現実で事足りていて、物語のもつ意味合いがもっと潜在的なものを対象としている気もする。

どちらにせよ、僕にとってはもう少し意味不明成分の多い村上作品を求めている。あくまで今はということだけども。

あ、あとは、気がついたら長編になっていたみたいな話をどこかで見かけて、確かに短編的な温度の物語だと思った。その辺りも今ひとつ自分に馴染んでいない要素の1つになっているような。

*

向き合わなきゃ、次に進めないことがある。そして、いくら冬眠していても、春には目を覚ます。僕らは動いている。生きている。

*

で結局、リアルタイムで読むことの意味があるかと言われれば、あるような気もするし、ないような気もするとしか、答えられない。少なくとも、いつ読んでも何らかの意味があると思えるような普遍性はあると思う。

Post a Comment

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>