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なんてったって旅人。(Turkey2012 – 6)

7月20日 イスタンブール

目覚めてすぐに朝食を食べるため、ホテルの屋上に向かう。階段しかなく、部屋が2階なのでけっこう大変。あまり人もいなかったからテラス席を陣取って、バイキング形式の料理を取りにいく。メニューは相変わらずハムやチーズやきゅうりやトマトあたり。相変わらずといっても全然飽きない。むしろ毎日食べてられるくらい。
いよいよ旅の最終目的地イスタンブールでの観光開始。最初から目玉のブルーモスク。朝早い時間に訪れたはずなのに、中に入るための行列が既にできている。ただ、行列はどんどん進んでいって、あまり時間がかからず入口に到着する。靴を袋に入れて持って入る。
きれいとしか言えない。この規模の広い空間をあんなに繊細な装飾で彩るのはもう狂気だ。歴史という文脈においては、現代ではあり得ない狂気が顔を出すことがある。そういうことが比較的頻繁にある。その途方のなさに何とも言えない気持ちになったりもする。神聖な場所のはずなのに、人が多く記念撮影等で騒がしかったことが残念だけど、ここはいつまでも見ていられる、そんな気がした。そうも言ってられないのでアヤソフィアへ移動。
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アヤソフィアに限らないけど、入場料が地球の歩き方の情報よりも5〜10TL高い。本は最新版なので、最近価格改定が行われたのだろう。
中に入るとブルーモスクに負けず劣らずこちらも壮大な空間が広がっている。博物館化されているため、こちらの方が見学できる部分が多い。ほとんど知識がないこともあり、見た感想を記すのは難しいのだが、元々ギリシア正教の建物として建築されたことから、円盤等で無理矢理イスラム感を出しているような気がする。宗教建築というのはその象徴性から、いかに柱を落とさず大空間を獲得するかが至上命題なわけだから、ドーム型に帰結するのは必然なのかな。多分素人目で見て、ブルーモスクとアヤソフィアの空間体験は、装飾(というかインテリア)の影響が大きくて、それ以外はほとんど似たような感じなのではないだろうか。強いて言うなら、アヤソフィアの方が西洋的な『堅さ』が押し出されているように感じた。
何度も折り返すスロープを上り2階へ。大空間を一望できる。やはり、ある意味でのファンタジーをどうやって創出させるかにとことん拘ると、こういう権威的なものができるのかという無駄な思考をしてしまう。
発掘されたキリストのモザイクを眺めていると、明らかに様子がおかしい集団がいる。黒いスーツの集団。どうやらそれがSPであり、その中心にはどこかからの国賓がいることがわかる。どこの国かもわからないのに、偉い人に出くわしただけでテンションが上がってしまうこの庶民感覚はどうにかならないものか。その後、おばちゃん同士みたいな会話(「どこの国なんだろうね?」「このSPの人数からすると、相当偉い人じゃない?」等)を繰り広げているうちに見学を終える。外に出ると黒塗りの車に見たこともない国旗。ツアーを売りつける怪しいトルコ人は「アラブの大統領だ」みたいなことを言っていたので、「首長国連邦!?」みたいな感じでキャッキャしていた。(帰国して国旗を調べたら、全然アラブなんかじゃなく、アフリカのガボンという国の大統領のようだった。それでも人生で大統領を生で見ることなさそうだし、かなり貴重な機会だったと思う。)
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続いてトプカプ宮殿。ここはかなり広大な敷地を有している。庭園とそれを囲む建物を見学するスタイル。第1庭園は無料で、奥に続いている第2庭園〜第4庭園が有料ゾーンとなっている。前述2つの場所と違い、外を歩く時間が長いので暑くて大変。歴史的な建物自体を見学するだけでなく、一部は宝物館になっていたりもする。高級そうなものが飾られている場所はほとんど撮影禁止なのだけど、ある観光客が撮っているのがバレて警備員と揉めていた。何しろカメラのデータまで見せたりしないといけないようだから相当厳重。
第4庭園では海とアジア側の街並みがよく見える。この立地はここから見える景色を前提にしているのだと思った。そういえば、この辺でまた黒塗りの車を見たから、さっきの大統領もトプカプ宮殿を見学しているようだ。折り返して更なる料金が発生してしまうハレムまで戻る。もうクタクタだったので、入るか入らないか議論した結果、せっかくだからということで入ることに。ハレムは日本でいう大奥的な感じかな。後は宦官(去勢された男子で宮廷に仕えた者)もそこにいたらしい。とにかく内装(壁や天井)がきれいだ。色の鮮やかさがたまらない。それにしても去勢と聞くだけで震えてしまうのは男の性か。ぶつけるだけであんなに痛いのに。ハレムの見学だけでもそれなりに時間がかかるので要注意。
有料ゾーンを出て次に向かうため第1庭園を歩いていると、突如流暢な日本語で異国のおじさんに話しかけられる。ちょっと怪しんでいると、その様子を察して関西弁を巧みに操りマシンガントークを仕掛けてくる。どうやら何かの学会がイスタンブールで催されていて、その日本語通訳として来ているらしい。会社名を聞くと門外漢の僕でも知っている有名な企業だった。そのおっちゃんは「一期一会だから、・・・」を口癖のように何度も繰り返すので、イチゴさんと呼ぶことにしよう。イチゴさんはイスタンブール観光をより良いものにしてくれようと、色々アドバイスをくれた。おみやげの値段の相場だとかエジプシャン・バザールで香辛料を買うならどこがいいとかキリムならどの店がオススメかとかそんなことを。言うまでもなく、その後の旅がもっといいものになった。海外にいると、良くも悪くも「出会うこと」の敷居が低くなる。イチゴさんの言うとおり一期一会なことが多いとしても、記憶として蓄積されていく。豊かな土壌がおいしい作物を育むように、豊かな記憶は僕を魅力的な人間へと押し上げてくれるのかもしれない。もちろんそこには自分自身で耕す努力をしないといけないけれど。
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早速近所にあると教えられたキリムや布、食器を売っているAishin(アイシン)という店へ。イチゴさんの話では無印良品なんかとも取引あるらしい。恐る恐る入ってみると高級感が滲み出ていて、ちょっと焦る。
上品なおじさんが日本語で対応してくれる。チャイかアップルティーか聞かれ、少し警戒していたら、「これがトルコの流儀で無理矢理買えとか言わないから安心して」と言われ、少しずつ心を開く。まだトルコで飲んでいなかったアップルティーをお願いした。りんごのフレーバーとかじゃなくて、味にまでりんごが出てきていて、特にニケが気に入っていた。
その後、世間話をしながら、肌触りのいいストール的なものを見せてもらう。触ってみると、めっちゃ気持ちいい。前日からキリムも気になっていたので上から持ってきてもらう。他と比べてどうとかわからないけど、上質であることはなんとなくわかる。各々のストールと玄関に置く目的でキリムを購入。この旅で一番高額な買い物だった。(といっても2万円弱だけど。)
ホテルが近かったので、荷物を置いて再度街へ。そろそろお腹もすいたので、昨日訪れたロカンタのエリアへ。バルカンの他にもう1つの気になっていたお店であるエティシュに入る。バルカンよりも少しだけ観光客向け。こちらはカウンターに並んだ料理の前で注文して、テーブルまで持って来てもらう形式のため、注文後続々と運ばれてくる。
マッシュポテトが乗ったグラタン的なものやらムサカ(ナスと肉の煮込み)やらドルマ(ピーマン肉詰め)やらたくさん食べる。おいしいがバルカンよりも少し高い。(とはいえ、一般的なレストランより安い。詳しく覚えてないけど、一人1000円くらい。バルカンは700〜800円くらいだったと思う。小食の人なら500円で全然いける。)
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昼食後、再びエジプシャンバザール。明日が最終日で、どれだけ買い物できるかわからないので、今回は気に入ったら買う意気込みだった。まずはイチゴさんに教えてもらった香辛料の店である51番へ。もうイチゴさんを信じることにして、トルコ料理によく使われるスパイス2種類と我が家のカレーに必須であるガラムマサラ(後日談だが、これは日本のスーパーで買うものよりもスパイシーで相当おいしかった。)、アップルティーの粉を購入。けっこう買ったつもりなのに、店の人には「それだけでいいのか?」って言われた。みんなどれだけ買うのだろう。店を後にし、昨日からチェックしていたモールを出たところにある行列のトルココーヒー屋でコーヒー豆を購入。(トルココーヒー用にかなり細かく豆を挽いているようで、うちでは応用が効かずこれは失敗だった。)
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次はせっかくだからとグラン・バザールを目指す。とにかく暑かったし、登り坂だしで、早く休憩したいとニケと愚痴をこぼしつつ到着。事前にここは観光客向けだから高いことを調べていたし、イチゴさんにも絶対買うなと言われていたので、雰囲気を少しだけ楽しむ。しかしあまりに疲れたので、カフェで休憩。やはり観光客価格。でもべらぼうというわけでもなかった。もうとにかく冷たいものが飲みたかったので、ジュースで喉を潤す。高くてもおいしかったのが救いだ。
近くにモスクがあるようなので向かってみるも、ちょうどお祈りの時間だったため中に入るのを断念した。もう観光する時間帯でもないので、僕らが海外に行ったときに訪れるのを毎回楽しみにしてるスーパーマーケットを探すことに。少しiPhoneで検索すると、そんなに遠くないようだった。そういや、これまであまり書いてなかったけど、レンタルWi-Fiルーターは旅を快適にするという点で、かなり有効であった。ルーター1台で同時に5台くらい接続できるし、iPhoneの設定を機内モードにして繋げばOK。
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途中でスターバックスを見つけ、さっき休憩したばかりなのに僕が駄々をこねて立ち寄ることに。アイスコーヒーを飲んでいると、ニケがいきなり笑い出した。驚いてどうしたのか聞いてみたら、近くのベンチで観光客目当てにおもちゃのコマを売ろうしている人がいて、子どもがいないどう足掻いてもコマなんて買わないであろう2人組をターゲットにしていたみたいで、笑いながら「絶対売れねぇ」とつぶやいていた。
いよいよスーパーへ。途中で迷って道端の人に聞いてみたら、一橋大学に留学したことのある人物だった。これは安心だと思ってついていくと、またもや絨毯屋に連れて行かれそうになり、本当に油断ならない。どうやらその絨毯屋は家族でやっているらしく、僕はニケに「一橋大学に留学して、結局絨毯屋って意味ないよね?」みたいな投げかけをしたら、「いや、親がってことじゃないの?」という終着駅のない山手線のような取り留めのない会話をした。
一橋大学の彼にスーパーの場所は教えてもらえたので行ってみると、先程通り過ぎた場所だった。(そんなに間口が広くないので気づかなかった。)入ってみると奥行きがあって意外と広い。日本との商品の違いを面白がりながら、おみやげ探し。安いし、色々なものがあるから便利。アップルティーのTパック、はちみつ、ネスカフェなんかを購入した。
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はちみつのおみやげが足りなかったので、スーパーと同じはちみつを見かけたエジプシャン・バザールに再度向かう。その道中、ほとんど店が閉まっていることに気づく。そこまで遅い時間でもないし、こんなに閉まっている状況はおかしい。僕らは気づく。「ラマザンだ!」(それにしても、中学校あたりで習ったときはラマダーンという発音だった気がするが、いつラマザンになったんだろうか?)事前に調べていたからすぐわかったからよかったけど、知らなかったらこの静寂は本当に怖い。
エジプシャン・バザールに到着したら、やはりと言うべきかもう終了していた。どうしようかと考えて立ち止まっていると、みんながこちらを目がけて歩いてくる。何事かと周りを見渡すと、すぐ近くにモスクがあって、そこに向かっているようだ。逆方向に歩く人なんていなくて、敵襲が攻めてきたときの民族大移動みたいな感じだった。しばらく様子を眺めていた。ただただ圧倒された。
日が暮れたら飲食店も混みそうだから今のうちに夕飯を食べておこうということになり、そこまでお腹が減っていないのにもかかわらず今日もまたバルカンへ行くことに。(一度気に入ったら徹底してしまう傾向がある、僕ら夫婦は。)いつも通りメインとスープ、サラダ、ライスあたりの組み合わせにしたんだけど、今回はデザートとして、カステラのような生地をハチミツに漬けたものにチャレンジした。
トルコのデザートは基本的に日本と比べ物にならないくらい甘い。カッパドキアで食べたバクラワはおいしいと感じられたので、そのイメージで挑んだのが大きな間違いであった。一口食べると生地から尋常じゃない量のハチミツが染みだしてくる。しかもハチミツ自体も多分日本より甘い。もだえながら完食。食べてる間、ニケはひたすら苦い顔で僕を見ていた。(ニケは一口すら食べず。)口内を正常に戻すためにチャイを注文。チャイはメニューにはあるが、店には置いてないらしく、隣の店のおっちゃんが運んできた。これを書いていると、あの甘さが込み上げてきて、若干気持ち悪くなってきたのでこの辺にしておく。
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満腹すぎたこともあり、ラマザン時の日没後がどんな感じか見るためにガラタ橋方面へ。とても夕日がきれい。釣り人やサバサンドを売る船も見かけた。歩き回っていると、近くのモスクで掲げられた『RAMAZAN』の電飾の文字に大興奮。(ブルーモスクにも文字が掲げられていたが、ラマザンではなく全然読めなかった。)モスクの方に向かうと、巨大テント(ライジングサンのアーステントのよう。)に行列ができており、詳しくはわからなかったけど、おそらく宗教的なイベントが催されていた。
賑やかな夜の雰囲気に影響された僕らは疲れているのにホテルまでの道程をトラムに乗らず、ひたすら歩いた。飲食店はどこもいつもより賑わっているようだ。この時間に食べた方が面白かったかもしれない。帰り道になんとなく立ち寄ったおみやげ屋でマグネットやキーホルダーを購入。
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スルタンアフメット広場あたりまで戻ってくると、こちらにも人がたくさんいる。
入れないだろうなと思いつつ、ブルーモスクに向かってみる。もちろんイスラム教でも何でない僕らが入れるなんてわけはなく、祈りに来た人々が続々と中に入っていった。ラマザンをどう捉えるかなんて各個人で違うだろうし(イスタンブールには断食しない人もいるらしい。)、一概に決めつけられないが、宗教性みたいなものを精神だけでもたせることは難しく、肉体をどう扱うかってことも重要なポイントなんじゃないだろうか。ラマザンは食べないことが体の変化(空腹)に直結するし、それを全体で共有している状況が強固な繋がりそのものかもしれない。
ホテルに戻る。相当疲弊していたようで、ニケはなぜかお金を握りながら就寝していた。そもそもなぜお金を取り出したのだろう?ホテルに泊まるのは今日が最後で、いよいよ明日は最終日。僕はお金ではなく、感慨を抱きしめて眠りについた。
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