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ならば意味ある転がり方を。(Turkey2012 – 7)

7月21〜22日 イスタンブール〜大阪〜東京

いよいよ最終日。ホテルで過ごす時間を惜しむように、この日の朝は比較的ゆっくりと過ごす。
朝食のメニューは昨日とほとんど一緒。そういえば、昨日書き忘れたが食事中にチャイかコーヒーか尋ねてテーブルまで持ってきてくれる親切なサービスもありがたい。
部屋に戻ると、ニケの要望でおみやげ一式を写真を撮った。そんなに多くの買い物をした実感がなかったので、1枚の写真じゃ収まらない量に少し驚いた。こうやって無意識のうちに荷物は増えていく。
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チェックアウトして、そのままホテルに荷物を預け、観光を開始する。ホテルから近い地下宮殿から。ここは会社の事務の方に「行ってみたらいいよ」とオススメされた場所だったし、そんなに観る時間もかからないようなので立ち寄った。昔貯水池だったところを改修して公開しているとのこと。(多分もう貯水機能としての活用はしていないと思われる。)中に入ってみると、ライトにより列柱の美しさを演出していた。とても涼しくて快適な状況で見て回ることできたのも体力的に大きい。名物のメドゥーサなんかも見て、「意外とよかったね」なんて言い合いながら再び暑い外に出る。
やはり、単なる物理的な空間ではなく、人間の活動とその器あるいは背景としての建築が一体となっている様子に非常に強く惹かれる。ブルーモスクは観光機能だけでなく祈りの場として機能していることでより魅力が増していると思うし、僕が単体の建築以上に街という連なりに興味があるのも同様の理由だ。ディスプレイに飾られる料理サンプルが実際に作られた料理を超えることはない。
通り慣れた道を辿って、またまたエジプシャン・バザールへ。
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昨日の夜閉まっていて調達できなかったおみやげのはちみつを購入した。今日はあまり見る場所を決めていなく、時間にも余裕があったので近くのモスクに立ち寄る。(昨日の夜『RAMAZAN』の文字が掲げられていたモスクである。)ブルーモスクほど壮観ではないように感じたけど、繊細さは負けていなかった。人も少ないし、じっくり眺めることができた。何かを考えていたと思うが、何一つ覚えていない。ただ大空間に漂う余韻みたいなものに浸っていただけかもしれない。
昼食はサバサンドと決めていた。しかしまだ時間があったのでエジプシャン・バザールの外側を歩き回る。動物が並んでるゾーンにはカゴの中にびっしり鳥が敷き詰められていて、日本のペットショップよりずっと環境が悪そうだった。あと、ヒルがいっぱいいてかなり気持ち悪かった。
いよいよ楽しみにしていたサバサンド。売り場である船はいくつも並んでいて、ゴージャスな船の1つを選択して、ニケと1個ずつ購入した。最初レモン汁なしで食べるとアレって感じだったけど、レモン汁をかけると酸味が程よくて俄然おいしくなった。このときに何度もおしぼりなんかを売りにくる少年が来て、断るのが面倒だった。あのメンタリティの獲得は日本人には難しい。一人1個はちょっと大きくて不安だったが、食べ始めるとぺろりと食べきってしまった。
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旧市街でまだまだやり残したことはあるものの、新市街へ向かう。トラムから地下ケーブルに乗継いでタクシム広場に到着。地上に出てみると、これまでのイスタンブールのイメージとは趣きが異なる。劇的という程ではないにしろ。
イスティクラール通りを旧市街側に向かって下り始める。東京でいう銀座みたいな感覚。店もトルコにしては高級なショップが多くて、覚えのあるそれなりのブランド名も見受けられた。特に目指す場所もないので、だらだら歩いていたが、やはり暑さには勝てず、どこかで休憩しようということに。通り沿いの店は高そうなので、少し路地に入っていく。途中で小さなコンビニのような店では、昔ながらのくるくるキャンディが売られていた。確か高橋さんの本では一時期流行って、すぐにブームは終わった的なことを書いてあったことを記憶していたから印象に残った。あとは、pen cafe(ペンカフェ)という店を見かけて、はんぺんを思い出したりもした。(2階だし、ちょっと怪しかったから入りはしなかった。)
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もう少し進むと、家族経営でやってるいい雰囲気のカフェを発見して入る。これが最後かね、なんて言いながらチャイを注文。やはり落ち着く味だ。カメラで写真を撮っていると、店のおじさんがノリノリで記念写真を撮ってくれた。ちょっとしたサービス精神が嬉しい。
店を出て、さらに少しだけ路地を歩いてから、イスティクラール通りに戻る。途中で教会を見つけて入ってみる。トルコで初めて紛れもないキリスト教の教会。中にはパラパラと観光客がいて、少しだけ展示なんかもされていた。
そのまま歩いていくと通りが終わり、テュネルでガラタ橋のあるカラキョイ駅へ。釣り人でいっぱいのガラタ橋を歩く。途中でイルカの群れを見かけて、めちゃくちゃテンションが上がる。必死で写真を撮るが、距離が遠くて少し残念。
日差しが強いので、途中で橋の下の空間に降りる。たくさんのレストランがあり、観光客向けなのでビールもあったりする。後ろ髪ひかれつつ旧市街に戻ってくる。まだまだ時間もあったので、金角湾周辺にあるピエール・ロティのチャイハーネに行こうということなっており、船が出ている乗り場に向かうも全然見当たらない。明らかに目的地から通り過ぎた場所まで行って、折り返して戻ってくる。僕もニケも疲れすぎていて無言。ようやく乗り場を見つけるも、どうやらその路線は運行していないようだった。(一時的なものか、廃止されたのかはわからない。)
バスで行けることは知っていたが、もうそこへ向かう気力もなくなり、ガラタ橋下でビールを飲むことに決める。適当な店を見つけて、エフィスビールに加え、フライドポテトとムール貝のドルマ的なものを注文。海を見ながら気持ちよく飲み食いするも、疲れがたまっていたせいか一杯で気持ち悪くなる。アルコールは諦めて、この旅初めてのトルココーヒーを飲んでみる。注文の時に砂糖の量をミディアムと言って出てきたら、めちゃくちゃ苦い。失敗。しばらく滞在することで、だいぶ疲れもとれ、酔いもさめてきた頃を見計らって店を出る。
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ぶらぶらと荷物を預けているホテル方面に向かって歩き出す。途中、現地の人が腰を下ろして休んでいる大きな郵便局の階段で僕らもマネをして座ってみる。まったりとくだらない会話をしながら、旅が終わる余韻を味わう。長い時間その場所にいて、時刻は夕方と呼ばれる頃になる。風がとても気持ちよかった。風なんて、普段はビル風みたいなどちらかというとネガティブな感覚をもたらすものだけど、心地よい風について存分に感じ取れるのが旅だ。まぎれもなく旅とはそういうものだ。
あまりお腹も空いていないが、することもないので最後の夕食へ。最後もやはりバルカン。(思い返しても、なぜあの店ばかり行ったのかよくわからない。)おいしかった鳥の煮込みをメインにして、いつも通りの(満腹になること必死の)量を食べる。ただし、昨日懲らしめられた、あの甘ったるいスイーツはもちろん食べない。それでもやはり、お腹はパンパン。
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まだ時間に余裕はあるが、ホテルの方に向かう。ラマザンのため、スルタンアフメット広場には日没を待つ人々が集まり始めていた。しばらくその様子を眺めつつ、満腹なのにもかかわらずまたもやスイカを食べてから、一旦ホテルに荷物を取りに行く。荷物を整理し、カウンターに座ってる男性に別れを告げて、広場に戻る。
さっきよりかなり多くの人が集まっていて、芝生にはもう座る場所がないくらいだった。ただ、見渡す限りまだ誰も飲食物を口にしていない。ニケと相談して、「日没して、みんなが食べ始めたら空港へ向かおう」ということになり、ベンチに腰掛けてずっと様子を見ていた。とある家族のお父さんが既にパンを手にしていて、今にも食べ始めそうなのに我慢している姿を見て、ニケと笑い合った。お父さんの気持ちを勝手に代弁なんかしたりもして。
そんな楽しい時間を過ごしていると、いよいと日没の合図がなり、一斉に場が賑わう。それはもうアーティスト不在の夏フェスのようだった。あまりにみんなのテンションが上がっているので、僕らもつられてテンションが上がり、よくわからないまま屋台でキョズレメというクレープを購入。中にはチーズが入っていておいしかったけど、お腹がまだ減っているわけもなく無理して食べつつ、トラムへ向かう。日没後のため、トラムに乗り込む頃にはもう暗くなっていた。
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1時間程かけて空港へ。帰るのを惜しむように、何気ない場所の写真を撮りつつ出国手続きへ向かう。パスポート確認の際、イスラム教徒の女性は顔を覆っていて、男性には顔を見せれないらしく、検査官が女性に変わるのを待っていて、その影響を受け僕らもけっこう待たされた。そんなちょっとした戸惑いもありながらも、無事出国手続き完了。搭乗まではしばらく時間があるので、トルコリラを円に両替したり、免税店でニケがロクシタンのリップを買ったり、スタバで休憩したりした。それでもまだ待ち時間があり、搭乗口近くでダラダラしてようやく飛行機に乗る。
カッパドキアからサフランボルのバス移動の際、帰りの飛行機で観ようと決めていたアイアンマン1と2を無事観ることができて満足。ちなみにニケはずっと寝てた。関西国際空港に着いた時にレンタルしていたWi-Fiをトルコで荷物として預けてしまっており、羽田まで行ってしまうことに気づき途方に暮れかけたが、ここで荷物をピックアップして税関を通らなければいけないシステムらしく、無事荷物が流れてきて助かった。Wi-Fiを返却し、羽田行きの飛行機を1本早める手続きをして、べたべただけど回転寿司を食べて再び飛行機で移動。
羽田からはバスで新宿に行き、電車に乗るのを諦めてタクシーで家に帰った。こうして僕らのトルコ旅行が終わった。
Istanbul, TurkeyIstanbul, TurkeyKansai International Airport, Osaka
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Between Istanbul and Osaka
今はまだ、この『体験』が自分に与えた影響はわからない。旅行に行く前に、その意義について『手っ取り早く体験できる』なんて言ってはみたものの、行く前と後で自分のどこが変わったかなんて、うまく口にすることはできない。ただ、知らないうちに凝り固まっていた僕の生き方や暮らし方が、それだけじゃないんだと突き付けられたのは間違いない。これからどうやって生きようか。
仕事に対しても、今のところ全然活かせてないだろうし、思考的にステップアップしたかもわからない。でも掘り下げる糸口はできた気がしている。少なくとも、空間が人やコミュニティを支えている様を見て、幾ばくか救われた。
つまりはトルコに行った意味を持たせるかどうかは、これからだ。(まあ意味を持たせるためだけに旅行に行くわけではないから、そこまで切迫したものではないけれどせっかくだからね。)
黙っていても僕らは石のように転がりつつける。ならば意味ある転がり方を。
その他の写真はこちらから。
Turkey – 120721-22

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