バルーンツアーに向けて朝4時に起きる。4時40分に迎えに来ると聞いていたので準備をしていると、予定より10分早く迎えが来て焦る。10分後再びノックされ、あわてて出ていく。朝だし上空は寒そうだし、念のためミレーのウィンドブレーカーを装備。車で向かった先でまずは朝食。バルーンに乗る人がわんさか。こんな朝でも僕の食欲はもりもり。特にソーセージがジューシーでおいしかった。
食後いよいよバルーンに搭乗する場所へ。到着すると、既に飛んでいるバルーンもあり、テンションが上がる。僕らのバルーンはまさに膨らませている最中だった。

バルーン会社の人の合図で乗り込み、注意事項の説明を聞き、いよいよフライト。少しずつ、でも確実に高度が上がっていく。大きなクラゲの群れが目を覚ます（そもそもクラゲって群れたり寝たりするのだろうか。）ように、次から次へと周りのバルーンも上がり始め、それだけで圧倒される。ここからは無我夢中でシャッターを切る。同じような写真になってしまうことがわかっていても、切ってしまう。ぷかぷか浮いているだけかと思ったら、上下左右に移動してくれて景色が移り変わる。草原、街、山、それらを目に、カメラに、焼き付けようとする。
高度が最も上がった時に1番テンションが上がった気がする。飛んでいる間はずっと「すげーなー」ってことばかり呟いていた。それしか言いようがなかった。すぐに終わるのかなと思っていたら、想像以上に飛空時間も長かった。
着陸時、バルーン会社の人が寄ってきて、そのままトラックの荷台に載せる作業。（バルーンが萎んでからでは重くて持ち上げることができないのかもしれない。）トラックの荷台に収まるのに少々手間取ったものの、それはそれで面白かった。
バルーンから降りた後はシャンパンで乾杯。旅立つ前に見た旅猿と一緒だ！朝の爽やかさとシャンパンのキリッとした感じが意外に合う。卒業証書のようなものを受け取り、ホテルまで送ってもらって終了。（卒業証書を送迎車の中に忘れるという失態を犯してしまう…。）
少々値が張るが、カッパドキアに行くなら絶対バルーンに乗るべき。目に映るものを脳に録画して、好きなときに鼓膜に再生したいくらいだ。ひたすら異質な土地でありながら、自分の中にある原風景と同列の価値基準の１つになっているような気さえする。そう、目撃という言葉が近いかもしれない。目撃というには長い時間それを見続けてしまった。ディープインパクト。

ホテルに戻り屋上で本日2度目の朝食。とてもいい景色の中、パンとチーズとトマトとキュウリなどなどが用意されており、僕は適当な具材でサンドにしていただく。（それにしてもトルコの野菜はなぜこんなにおいしいのだろう。驚く程みずみずしい。）
朝食後はグリーンツアーというギョレメの南側を回るツアーへ。カッパドキアのツアーは色名で行き先が違って、他にレッドとブルーがあり、そちらのツアーで回る場所は昨日ある程度レンタルバイクで行っておいた。ホテルまで迎えにきてくれ、オトガルまで送ってもらい乗り換え。
最初は景色のいいパノラマ。ここに限らず、どこもが写真スポットのように感じられる。この広大さを僕は「受け入れる」ほかにできない。（たとえどうにかしてもよいとしても）何も手を出せない。
次は地下都市。中に入ると外とは打って変わってひんやりしている。英語の解説はあまり理解できないが、生活機能や宗教的な機能、敵に攻められた時に対応する機能があるようだ。なぜこんな都市が作られたのかガイドの説明や本の解説では結局よくわからないが、途方もない労力だ。ここに数万人が暮らしていたというのだから本当に驚きだ。

いよいよグリーンツアーのメイン、ウフララ渓谷のバイキングへ。壁に絵が描かれていた教会を見た後は、ひたすら歩く。川が流れており、ここの植生は比較的日本に近そう。（まあ他の場所に比べればということではあるが。）
途中で川の上にも席があるカフェで一休み。僕らは木陰の席でチャイを注文して腰を下ろす。チャイによってもたらされる落ち着きは、ジョン・メイヤーが歌ってくれる子守唄くらい突き抜けている。少し休んだら再出発。またひたすら歩く。暑い中想像以上に長い時間を歩き、ようやくゴール。
ゴール地点にあるレストランで昼食。メインだけ色々選択できるが、僕もニケも牛肉の煮込みご飯添えを注文。飲み物は追加料金がかかるが喉が乾いたのでアイスティー。味はなかなか。甘いリプトンのアイスティーをおいしいと思うことなんてなかなかないのに、この旅では何度か飲んだ。席の前が日本人と中国人（？）の単独バックパッカー同士で、2人は英語で話し込んでいた。聞いていると日本人は住宅デザイナーを休職して世界一周しているようだ。羨ましくもあるが、一周し終えた後、担保がないことを考えると自分には無理だなとか思った。悲しきサラリーマン。旅するフリーマン。話に加わろうとも思ったが、なんとなくやめといた。なんとなく。

その後、ウフララとチケットがセットだったよくわからない崖の遺跡に連れていかれ、結構な急斜面を登りながら昔の痕跡を見学する。このくらいになると、なんだかカッパドキアの風景が当たり前のように感じ始めていたが、思い返すとやはり目にするもの全てが異質だ。
最後に、パノラマポイントで写真を撮り、海外で行くツアーではお決まりの高級宝石店に行き（もちろん何も買わない。）、ギョレメのオトガルで解散。もっとも観光を詰め込んだ日の観光がようやく終わった。色々なものを目にしたいと思って海外まで行っているのに、ツアーの観光は途中から早く終わらないかなといつも思ってしまう。ペースが合わないのだろう。一瞬だけならまだしも、マラソンランナーの走るスピードにずっと付いていくことなんてできないのだ。

ツアー終了後、夕食までまだ時間があったため、宿のあるギョレメの街を散策することに。観光地とはいえ、もちろん観光だけで場が成立しているわけではない。観光客の出入りと対照的な日々の生活があって、自分が異物だとしても、そこに爪先だけでも入り込んで、少しでも余所行きじゃない人々や風景を垣間みることが一番グッとくる。
そう、ツアーよりも、こういう何ともなしにゆっくりとその土地を感じる瞬間が旅の醍醐味な気がする。かといって、せっかく来て有名どころを全然回らないなんて、貧乏性の僕には無理だ。バランスをとって限りある旅をいかに味わうか、そこに十分気をつけることが旅を成功させるポイントだとようやくわかってきた。まあ、どんどん自分の間で見て回る方にシフトしているけど。（この日以降、観光ツアーを組み込んでいない。）

今日の夕食は、ホテルでの朝食時、杉本さんにバーベキューに誘われていたので、荷物をおいて屋上に向かう。まだできていないようだったので、オーナー夫婦のめちゃくちゃかわいいお子さんと戯れる。そのうちに調理が終わったようで、チキンをメインとしたプレートが運ばれてくる。飲み物は強気のエフェス。プレートはおかわりもして、デザートのバクラワ（パイのハチミツ漬け）もいただき、大満足。（ただし、やっぱりビールですぐ酔ってしまったけど…。）気力を振り絞りシャワーを浴びて就寝。

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Turkey – 120716